インクペディア
プリンターインクってなんでこんなに高いの? 「インク商法」とは?印刷費をなるべく安く済ませる方法

インクは世界でもっとも高い液体!?
みなさん、インクジェットプリンターの純正インクって高いと思いませんか?
Googleで調べてみると「人間の血液より高い」という話がたくさん出てきます。
この「血液より高い」という言い方は実は古くからあり、かつては非常に高価なシャネルの香水「5番」に使われていたようです。
こちらの香水、調べてみると35mlで1万円くらいなので、血液どころか純正インクより高いです。
まあ、シャネルを使うお金持ちは文句を言わないと思いますけど。。(笑)
さて、プリンターはお金持ちだけのものではありませんので、問題が発生します。
純正インクは、例えばエプソンの最新型番「クマノミ(KUI)」で言うと、増量版のインクカートリッジでも、内部のインク容量は約10mlです。
純正メーカーはインク容量を公式には発表していません。きっとユーザーが、え!これしか入ってないの!と驚くからだと思います。なお、エプソンのカートリッジはスポンジレスですので、分解すれば容量(インク充填量)を調べるのは簡単です。
ちなみに、最近のインクカートリッジはICチップで印刷枚数をコントロールしていますので、単純にインク充填量を増やせばそれだけ多くの枚数を印刷できるという話ではありません。
また充填されたインクは最後まで使い切れるわけではなく、空打ち防止のため、限界値を越えるとストップがかかり、使用済カートリッジの内部に少し(2mlほど)インクが残るように設計されています。
なお、チップスの製品は純正インクより少し多く(5~15%ほど)多く印刷できるようになっています。・・・これは宣伝です(笑)。
純正インク | インクのチップス | |||
1色あたりの容量 | 1色あたりの容量 | |||
クマノミ(KUI)シリーズ | KUI-6CL-L | 増量 | 10ml | 13ml |
KUI-6CL | 通常 | 6ml | – | |
IC80シリーズ | IC6CL80L | 増量 | 10ml | 13ml |
IC6CL80 | 通常 | 6ml | – | |
IC70シリーズ | IC6CL70L | 増量 | 10ml | 13ml |
IC6CL70 | 通常 | 6ml | – | |
IC50シリーズ |
IC6CL50 | 通常 | 8ml |
15ml |
1枚当たりの印刷コストについて
さて、純正メーカーが発表している「1枚あたりの印刷コスト」はあくまで理論値です。
ヘッドクリーニングで使用されるインクはコストに含まれていませんので、当然クリーニングの頻度が高ければ、それだけインクが消費されてしまいますので、印刷コストはアップすることになります。
わかりやすく書くと、理論上の「1枚あたり印刷コスト」はあくまで連続印刷を前提にしています。途中でヘッドクリーニングが入ることは前提になっていません。
つまり数枚印刷してしばらく放置、再度印刷する際にガッツリとヘッドクリーニングをしちゃった、というケースでは、1枚あたりの印刷コストは、表示された数値よりもかなり跳ね上がっていると考えるべきです。
家電量販店等でしばしば見かける「1枚あたりの印刷コスト」。
ヘッドクリーニングを含んでいない為、実際は表示数値よりも高くなることがほとんどだ。
また、当然ながら印刷する内容によっても消費するインク容量は違ってきますが、これはISOで世界的に測定方法が定められています。モノクロ印刷であれば「ISO/IEC 19752」、カラー印刷であれば「ISO/IEC 19798」。画像内の印刷面積はおおむね5%です。ちなみにJIS(日本工業規格)でも、現在はISOと同じ測定方法に準ずることになっています。インクのチップスの製品もこちらのISO(およびJIS)の基準で測定しています。
これらのISOの画像データは、日本の一般的なインクジェットプリンターのユーザーからすると、若干違和感があるはずです。
国際標準(そして現在ではJISも同様)というのは、つまり米国でよく印刷されているデータをもとにしたものです。
しかも14年前、2004年に定められたものです。
現在の日本のインクジェットプリンターのユーザーが印刷するものとは違います。
日本の消費者がよく印刷しているのは、デジカメで撮影した風景写真や人物写真、自作のイラスト、年賀状の自作あいさつ面、あるいはWEB画面にしても地図とか、飲食店の情報とか、もっとカラフルで印刷密度の濃いものですよね。
ですので、消費者の感覚からすると、なんだよー、もうインクなくなったのかよー、となってしまいます。
なぜインクはこんなに高いのか。インク商法とは?
さて1mlあたりの価格でもいいですし、1枚あたりの価格でもよいのですが、なぜインクはこんなにも高いのでしょうか。それほどの価値があるものなのでしょうか。
これはいわゆるビジネスモデルの問題になります。よく「インク商法」と言ったりしますね。
髭剃りの替え刃や、電動歯ブラシの替えブラシ、最近では家庭用コーヒーメーカーなど、本体を安く売っておいて、消耗品で稼ぐというやり方は、日常生活でもたまに見受けられる商売方法ですよね。専門用語では「二部価格制(two-part pricing)」と言うそうです。本体の価格はあくまで全体コストの第1部に過ぎず、実際には消耗品が第2部のコストとして、あとで出現するわけです。
このビジネスモデル自体は理解できます。すなわち本体の開発コストが、消耗品の方にも乗っかっているんだよ、ということです。ところがここで問題になるのは、実は数年前からプリンターの性能はさほど向上していないことです。すでに回収済の(減価償却済の)技術をベースとし、たいして開発費はかけていないのが実態。しかも純正の消耗品価格は数年前よりも値上がりしています。
また技術開発といっても、その主眼は消費者ニーズをつかんで、よりよく満たすような前向きなものではなく、むしろ再生インクや互換インクといったサードパーティー品を何とかして排除していこうとする、内向きの開発に終始しているのではないか、と多くの人が疑っているというのが今の実情ではないでしょうか。
そして絶対にあってはいけないことですが、消費者ニーズとは正反対の「製品寿命の意図的な短縮化」「製品の計画的な老朽化」の疑いすら出てしまっています。2017年12月29日には多くのマスコミで、フランス検察がエプソンの予備捜査をはじめた、と大々的に報じられました。しかしいくらなんでも日本企業がそんな悪質な意図で製品開発をするはずがないと信じています。しっかり調べれば間違いであることがいずれ明らかになるでしょう。
エプソンさんの2018年3月期の最新の決算予想では、売上げが1兆1,100億円、営業利益は720億円です。すごい!そしてこの利益の大半がプリンティングソリューション事業、すなわちプリンター関連の事業で上がるものです。
ところが研究開発費の多くは、残る二つの事業、すなわちビジュアルコミュニケーション事業(プロジェクターなど)、と、ウェアラブル産業プロダクツ事業(スマートウォッチなど)に振り向けられているのが実態で、肝心のプリンターのほうは、すでに成熟化した、いわゆる「キャッシュ・カウ(現金を生む家畜)」という立場。
本体の開発コストが消耗品に乗っかっている、という論法がどこまで通用するのか、徐々に説得力を失ってきているのではないでしょうか。
印刷費を安く済ませる方法
最近はエプソンさんだけではなく、キヤノンさんやブラザーさんも、プリンター本体の価格を高くする代わりにランニングコスト(インク費用)を抑えたモデルを出しています。
エプソンさんなら「エコタンク」、キヤノンさんなら「メガタンク」、ブラザーさんなら「ファーストタンク」と呼ばれているタイプのプリンターです。
「インク商法からの脱却」として非常に注目されていますね。消費者に選択肢を与えるという意味で非常によい試みだと思います。
エプソンさんはたくさんの広告費を使って宣伝していますので、「おお!これはいいぞ!」と思った方も多いと思います。ヘビーユーザーにはまさに福音でしょう。ただしいかんせん、本体価格が高い。そこまで頻繁に印刷しないんだよねー、という人には、ちょっと贅沢なモデルかも知れません。
実際のところは本体価格が安いモデルで済ませたい、という人も、まだたくさんいると思います。その際は、ぜひ再生インクや互換インクもご検討ください。コスト削減効果は抜群です。
気になる互換・再生インクの品質ですが、数年前と比較して随分とよくなりました。実際に家電量販店でも互換インクをお勧めする店員さんが増えていますよね。
一方で我々のような専門家から見ると、ちょっと首をかしげたくなるような品質の互換インクも出回っています。実際のところコストだけを優先して、インクの品質を犠牲にしてもよいと考えれば、かなり価格は下げられます。「とにかくインクでありさえすればよい」「最終的にプリンターの寿命を犠牲にしてもよい」と考えれば、ビックリするような低価格の商品を出すことも不可能ではありません。ただし、トラブルになる可能性が高いことは覚悟しないといけないでしょう。
やはり信頼できるショップ、評判のよいショップから買うことが大事です。ネットショップは残念ながら玉石混交です。レビューを参考にするにしても、いわゆる「サクラ・レビュー」も多いのが実態です(もちろんインクのチップスはそんなことはしていません)。ユーザー側から見ると、その辺りも見極めながら、引っ掛からないように買う「賢さ」が要求されている、というのが実態だと思います。ただしうまく使えば、良質なサードパーティーインク(互換インク)が、印刷費削減の大きな力になることは間違いありません。

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