インクペディア
結局どのメーカーのプリンターを買うべきか【2018年夏版】
みなさん、元気ですかー!元気があれば何でも印刷できる。
今日はインクジェットプリンターのメーカー別の特徴を、世界でいちばんわかりやすく(笑)書いてみたいと思います。
家庭用インクジェットプリンターといえば、日本市場では四社が競い合っています。キヤノン、エプソン、ブラザー、ヒューレットパッカードの四社ですね。
毎年9月から10月に新型機種を各社とも発売するのが恒例です。
主力モデルが出そろうと、いろんなメディアに比較記事が出てきます。
さらに「〇〇社のこのプリンターがすごい!」という感じの記事も出たりします。
一見すると消費者にはバレないような巧妙な書き方のケースもありますが、それらの多くは、メーカー側からお金をもらった「企画モノ」つまり「記事広告」です。
そうなると、結局どのプリンターがいいねん!という話になります。本当に公平な記事はどこにあるのか。
プリンターメーカーからお金を一切もらわずに、かつプリンターの知識があって、純粋な比較記事を書ける人はどこにいるのか・・・はい!ココです、ココ(笑)!
純正メーカーさんから一切お金をもらわず、かつソコソコの専門知識もそなえた我々が、結局どのプリンターがいいのか、ちょっとまとめてみました。では張り切っていきましょう。
さて、プリンターのいい、わるい、とは一体何なんでしょう。この場合のプリンターには、複合機も含んで話をします。
ある人にとっては、グラビア印刷に近い高品位の写真画像を家庭である程度実現してくれるプリンターがいいプリンターでしょう。
またある人にとっては、ファックスで送られてくる大量の注文書や文章原稿をジャムることなくスムーズに吐き出し、かつランニングコストが比較的安いプリンターが良いプリンターでしょう。
つまりいいプリンターか、わるいプリンターかは、どのような用途に使うか、によって違ってくる、というのが重要なポイント、いや唯一のポイントです。
そこで四社のプリンターの特徴をみてみると、実はかなりハッキリとした方向性の違いがあります。
方向性とはつまり、どのような用途に適しているか、ということです。
ここでザックリと用途をわけ、【1】写真(画像)を印刷したい人、【2】文書(文字)を印刷したい人、【3】写真と文書のどちらも印刷したい人、の三つとします。
そのほかの用途、例えば、「おい!オレはインクジェットプリンターをイカした室内インテリアとして使ってるんだ!」という人もいるかも知れません。
実はこの要素、つまり外観のデザイン性は最近非常に重要な要素になっていますが、それは改めて別の機会に記事にすることとして、今回の検討対象には加えません。
そして用途と同じように、もうひとつ大事な視点があります。それは、どれくらいの頻度で印刷するのか、ということです。
これはプリンターの基本性能のひとつである印刷速度という角度でも重要ですし、またそれ以上に印刷コストという点で重要です。
【1】写真(画像)を印刷したい人
写真だけを印刷する人や、主に写真を印刷する人で、プロに近い最上級の仕上がりまでは求めず、いわゆる売れ筋の手頃なプリンターでよい、という人に最もおすすめのプリンターは、ずばり、エプソンです。
基本的な認識として、写真印刷の仕上がり、印刷品位に影響を与えるのはインクの色数です。
水彩画を描くときに、6色の絵具と、12色の絵具、どちらが良い色彩を表現できるでしょうか。
もちろん理論上では、三原色さえあれば、混ぜてどんな色でも作れる。ではなぜプロの水彩画家は、ホルベインの48色の絵具を使うのでしょうか。答えは明白ですね。
さてプリンターを見てみましょう。写真印刷に使用する染料インクの色数です。まずはエプソンとキヤノンのプレミアムモデルをみてみるとこんな感じ。
エプソンVエディション | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、レッド(R)、グレー(GY)、ブラック(BK) 6色 |
キャノンXKシリーズ | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブルー(PB)、ブラック(BK) 5色 |
とはいえ、このあたりのハイスペックモデルは本体価格が高いです。
もっと高いやつ、エプソンのSCリーズは顔料インクで8色、キヤノンのPROシリーズは顔料インクで10色、みたいなモデルもありますが、やはり庶民には手が届きません(本体価格15万円以上)。
基本的には、カメラに30万円かけちゃったよー、みたいなセレブの趣味の世界と考えてよいでしょう。
では売れ筋プリンターでみるとどうか。
エプソンEP-808A | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ブラック(BK) 6色 |
キャノンTS8130 | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、グレー(GY)、ブラック(BK) 5色 |
ちなみにブラザーとヒューレットパッカードも載せると。
ブラザーDCP-983N | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y) 3色 |
HP ENVY Photo 6220 | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y) 3色 |
家電量販店にいくと、実際に印刷した写真画像を見ることが出来ます。
ひとつひとつ単独で見ると、どのプリンターで印刷したものでも、わー写真印刷ってキレイだなー、と見えるのですが、比較してみると、やはりエプソンの6色インクは強いと思います。
もちろんキヤノンの5色インクが明白に劣っているか、といえばそうではありません。
実物の印刷サンプルを見たときにも、もしかすると違いが感じられないかも知れません。
なおキヤノンにはグレー(GY)を除いた染料4色+顔料1色=計5色のモデルもあります。
なおエプソンとキヤノンの主力モデルの他のスペックを比べると、ほぼ同じです。コンパクトさデザインの外観も似てきています。
しかしこのランクのモデル同士で比較すると、印刷スピードはエプソンの方がちょっと速い。L版印刷で、EP-808Aは13秒、TS8130は18秒です。
さてブラザーとHPの写真印刷のサンプルを見る機会があれば、灰色の部分に注目してみてください。
三原色を全部混ぜると黒になり、それを使って灰色を表現するのですが、やはりどこかC、M、Yのどれかに近い灰色になっているように見えるかも。
ただそれは6色や5色のプリンターのサンプルと比較した際の話で、単独でみるとやはり「わーきれいだなー」となるでしょう。
【2】文書(文字)を印刷したい人
もし文書だけを印刷する人がいるなら、ずばり!迷うことなくレーザープリンターを買いましょう(笑)。
現段階においては、文書印刷に関し品質・コストなど、ほぼ全面的にレーザープリンターがインクジェットを凌駕していると考えています。
エプソンの「ビジネスインクジェット」の世界もあるにはあるのですが、期待したほど売れ行きがよくないという話もありますし、やはり文章印刷はレーザープリンター(トナーとドラム)でしょう。
基本的には、コピーなど文書を主に印刷するが、ごくたまに写真や年賀状(の裏面=通信面)も印刷するんだよね、という人もいるでしょう。
このケースの場合、もしスペース的に許されるのであれば、レーザープリンターとインクジェットプリンターの2台持ち、というのがおススメです。
写真(画像)印刷用のインクジェットプリンターのほうは使用頻度が非常に低い、しかも印刷品位も求めない、ということであれば、ずばり!このモデルがおススメです。
ブラザーDCP-983N | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y) 3色 |
HP ENVY Photo 6220 | シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y) 3色 |
一部のマニアのあいだで、付属するインクよりもプリンタ本体の価格のほうが安いと話題になった伝説的なモデル、iP2700の後継です。
L版印刷で52秒!まぁいいじゃないですか、たまにしか印刷しないんだし、慌てずに。家電量販店では隠れたように置いてあります。探してみてください。
本体価格に関しては、ググってみてください。基本的にブッチギリで安いはず。
さてスペースの関係で、2台持ちは厳しい。文書を基本的に印刷するんだけど、写真も印刷するし、FAXもする、電話もかける、結構コピーもするからADF(自動原稿送り)も欲しい、といった感じで様々な用途を1台で満たすような、多機能複合プリンターという世界は、かつてはブラザーが圧倒的に強かったのですが、最近はエプソンやキヤノンも対抗モデルを出しています。しかしラインナップの広さを考えるとブラザーがまだ一歩リードしています。
【3】写真と文書のどちらも印刷したい人
さて最後に、写真も文書も同じくらいの頻度で印刷するんだよねー、という人。
実際のところは、このユーザーさんが一番多いかも知れませんね。めちゃくちゃ多機能である必要もない。
印刷のための機械が欲しい。しかし印刷する対象は、写真とも、文書とも、どちらとも決めかねる。どちらもありそうだし、ないかも知れない。
何を印刷するのかまだ決まっていないのだが、そこそこなレベルのプリンターを家は置いておきたい。
その場合は、ずばり!キヤノンがいいのではないでしょうか。
キャノンTS8130 | 写真用は染料で、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、グレー(GY)、ブラック(BK) 5色 |
キャノンTS6130 | 写真用は染料で、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BK) 4色 |
もう少し安くても良いという場合は、キヤノンさんのエントリーモデルもありますし、ブラザー、ヒューレットパッカード、それぞれ選択肢はあります。
しかしエプソンが抜けているのはなぜかというと、顔料インクと染料インクの両方を搭載しているモデルがないからです。
つまりエプソンの売れ筋モデルでは、染料ブラックで文書を印刷することになるのです。
若干ぼけたような仕上がりになってしまうので、やはり写真と文書を同頻度で印刷する人には対しては、おススメとは言えません。
以上、「結局どのプリンターがいいねん!」というお題について、用途に応じて、またインクジェットプリンターのメーカーごとの特徴に応じて、自分では公平と信じる視点から、まとめて書いてみました。
しかし最後にひとつ宣言しておきます。えー、万が一ですよ、我々もプリンターメーカーさん、純正メーカーさんからお金をもらえるなら、はい、そのメーカーさんに偏った記事を書きます(笑)。お金の魅力には誰も逆らえない。